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ONKYO TA-44X

      1982年 定価56,800円



ONKYO TA-44Xは1982年に発売された2ヘッド・3モーターのカセットデッキです。輸出仕様はTA-2033で、マルチプログラムシステムが省かれているようです。

売れ筋の価格帯のためライバル機が多く、AIWA AD-FF5、AKAI GX-F31、AUREX PC-G6AR、DIATONE DT-6、Lo-D D-7、Marantz SD420、Nakamichi BX-1、OTTO RD-D60、SONY TC-FX600、Technics RS-B70、TRIO KX-6X、Victor KD-V4、YAMAHA K-500などです。


1970年代のONKYOはアンプやチューナー、スピーカーなどには定評がありましたが、カセットデッキに関しては、ほとんど注目されていない状況でした。

メーカーもそれを理解していたのか、一応エントリークラスから高級機までのラインアップはあるものの、機種の数はOPTONICA(シャープ)や、OTTO(サンヨー)よりも少ないというあり様でした。

ところが1981年になると、一気に6モデルを発売して巻き返そうとしますが、やはり売れなかったのか、1984年になっても、これらのモデルがカタログに残っていました。


TA-44XはTA-650(1980年・57,800円)の後継機として、開発されたモデルで、マイコンによるマルチプログラムシステムを搭載しています。

ヘッドは硬質ガード付ハードパーマロイヘッドを採用。消去ヘッドはダブルギャップフェライトです。メカは3モーターです。

ノイズリダクション・システムはドルビーB/Cタイプを搭載しています。テープポジョンはオートセレクターで、ノーマル、ハイ(クローム)は自動で対応しますが、メタルテープは手動になります。


マルチプログラムシステムを搭載しており、前後9曲の範囲での飛越し選曲が可能です。

リピート機能は1曲を10回繰り返し再生、カウンター(000の位置)とテープの出だし、終わりのとの間での10回リピート再生。
その他には、曲のイントロだけをサーチする自動ミュージックサーチAMSSや、オートスペース、レックミュート、タイマースタンバイ機構などを搭載しています。



(音質について)
高音はそこそこ解像度や透明感があり、伸びもあります。それに対して中低音は押し出しが弱く、ややモッサリとした感じです。
レンジは狭く、音場もさほど広くはありません。

音がキレイに聴こえるようにするために、高音を少し持ち上げるような、チューニングをしているのかもしれません。

レンジや音場が良くないので、クラシックやジャズには使いにくい。でもロックやJPOPでも、この中低音では物足りない。
ということで、ONKYOのカセットデッキが売れなかったのも、しょうがないのかもしれません。



(フロントパネル)
ディスプレィはLEDピーク・デジタルベルメーターを搭載。透過照明を使用しており、他社とは違う雰囲気があります。



ディスプレィの下にはカウンターのモード切替とリセットのボタン。CDS、CPS、ブロックリピート、オートモニター、タイマー、MPXフィルター、ドルビーの切り替え(OFF、Bタイプ、Cタイプ)といったボタンがあります。
一番下には録音レベルのスライドボリューム(TEACはレコーディング・フェーダーと呼んでいました)があります。

右端には巻き戻し・早送り、再生、ストップ、録音、PAUSE、RECミュートの操作ボタン。一番下にはバイアス調整のボリュームと、ヘッドフォン端子とそのボリュームがあります。




(シャーシと内部について)
シャーシは薄い鋼板製で、当時のこのクラスのモデルとしては、標準的です。右側寄りの上部にはビーム(梁)があり、フロントパネルとリアパネルを繋ぐことで、シャーシの剛性を高めています。

脚はインシュレーターではなく、小さなプラ足です。

内部は左側がメカと電源トランス。メイン基盤の左側には電源回路とシステムコントロール回路。右側には録音と再生回路があります。




(電源部) 
電源トランスの容量は15.5V、17VAで、別巻線ではありません。磁束漏れ対策のために、金属製のケースに入っています。

電源回路は簡素な回路です。中級機というよりもエントリークラスに近いです。

使われているトランジスタは「D880」。電解コンデンサはニチコンの一般品「SE」などです。

電源ケーブルは細い並行コードでです。

電源トランス 電源回路



(システムコントロール・サーボ回路)
システムのコントロール用のマイコンは東芝「TMP4320AP」です。

他には東芝製のヘックスインバータ「TC4069UBP」、東芝製のLEDドライバ「TA7612AP」などがあります。

コントロール回路 マイコン
東芝 TMP4320AP


(ヘッド・メカ)
ヘッドはハードパーマロイの録再ヘッド。消去ヘッドはダブルギャップフェライトです。

ハードパーマロイといっても、1970年代の単に耐摩耗性をを向上させたヘッドとは違い、飽和磁束密度や歪率が改善されたヘッドになっています。

メカは三協製の3モーターです。モーターはキャプスタン用がDCサーボモーター。リールとメカニズム用がDCモーターです。

メカ ヘッド・キャプスタン・
ピンチローラー



(録音・再生回路)
再生回路とドルビー回路は、左右のチャンネルがキチンとセパレートされた、MONO構成の回路になっています。

録音回路はゴチャゴチャしていて、キレイな配線になっていないようです。またマイコンなどがあるコントロール回路の、すぐ隣にあるので、ノイズなどの干渉を受けているかもしれません。

ノイズリダクションはドルビーBとCタイプで、ICは東芝製の「TA7629P」です。


オペアンプはJRC「4558D」、三菱「M5218L」、サンヨー「LA6324」があります。

電解コンデンサはニチコン製の一般品「SE」などが使用されています。

録音回路 再生回路

ドルビー回路 ドルビーB・C用IC
東芝 TA7629P



(入出力端子)
入力端子は1系統。出力端子も1系統(固定出力)です。

リアパネル


ONKYO TA-44Xのスペック

周波数特性 20Hz〜19kHz ±3dB(メタルテープ)
20Hz〜16kHz ±3dB(ノーマルテープ)
S/N比 60dB(Dolby オフ・メタルテープ)
70dB(Dolby-B)
ワウ・フラッター 0.04%(WRMS)
±0.08%(W.Peak)
消費電力 23W
外形寸法 幅418X高さ122×奥行270mm
重量 5.0kg




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