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2007年に発売された、鎌ベイアンプ(KAMA BAY AMP・SDA-1000)は名前のとおり、パソコンの5インチベイに、取り付けることができるアンプです。 デジタルアンプICを使用しており、パソコンファンやPCオーディオのファンから注目されたアンプで、ネット上には改造記事も多数あります。 メーカーのSCYTHE(サイズ)はあまり有名ではありませんが、パソコン本体や周辺機器を開発・販売するメーカーです。 鎌ベイアンプ KRO(型番 SDA-1100)は2009年8月の発売で、鎌ベイアンプの後継機となります。 従来の鎌ベイアンプが、パソコンの5インチベイに取り付けると、ノイズが入るなどの問題があったため、ノイズ対策を行ったり、ボリュームを無段階抵抗タイプに変更するなどの、改良がされています。 デジタルアンプICには、「ピュアパルスダイレクトスピーカードライブ回路」を、搭載したYAMAHA製の「YDA138D-3」を採用しています。 YDA138は2004年に発売されたICで、PWM方式のデジタルアンプならではの高効率(最大88%)を持ち、その他にAB級のヘッドホンアンプ、クロック発振回路、ポップノイズ低減回路、マルチチャンネル同期動作回路、キャリア周波数ホッピング回路、過電流・高温保護回路、AM混信対策機能、出力ミュート機能などを内蔵した、オールインワンタイプの多機能なチップです。 ヘッドホンは最大出力50mW×2でSN比は95dB。この他にミュート(消音)機能を搭載しています。 電源は付属のACアダプタか、PCの内部電源(4ピンペリフェラルコネクタ)から給電可能です。 付属のACアダプタは12V・3Aでセンタープラス。 音を聴いてもあんまり良さそうなアダプタではなかったので、現在は他社の12Vの電源アダプタを使用しています。 鎌ベイアンプ KROは、外から見えるスピーカー端子、RCA端子、インシュレーターなどはちゃんとしていますが、中味は安物のパーツも多く値段の割にお粗末です。 鎌ベイアンプのボリュームは、ギャングエラーが出ることで有名ですが、これも安物のパーツです。ウチの個体はギャングエラーは出なかったものの、しばらくしたら盛大にガリを出すようになりました。 ボリュームにはカバーが付いていないので、接点復活剤をスプレーして、グリグリ回してやれば直ります。 付属品はACアダプタ、スピーカーケーブル、ラインケーブル(RCAケーブル)、ペリフェラルコネクタ、PC用ブラケット。 (音質について) 音質は残念ながら同じ価格帯のTOPPINGやS.M.S.Lなどの、中国製デジタルアンプにはかないません。まあネットでの改造記事が多いということは、それだけ音に満足していない人が多い訳ですが。 高音はこのアンプの問題点です。音にキャラクターがあり、伸びが無く解像度も不足しています。 低音はあまり出ませんがバランスが悪いです。例えばジャズというジャンルの中でも、曲によって低音が出る場合と、出ない場合がハッキリとしています。これは低音域にも少し「山」が出来ているのかもしれません。 音のバランスの悪さは、もともとパソコンや周辺機器を作るメーカーですので、音の良し悪しを決めるチューニングの、ノウハウはないでしょうから仕方ありません。こういう面でも中国のデジアンのメーカーよりも見劣りします。 |
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(フロントパネルとリアパネル) | |||||||||||||||
ケース本体は薄い鋼板製。底面には3点式のインシュレーターが付いています。 フロントパネルには電源スイッチ、ボリューム、ヘッドホン端子(ステレオミニ)、ミュート(消音)ボタンがあります。 カラーはブラックですが、交換用のシルバーのパネルがおまけとして入っています。 リアパネルには入力端子のRCAコネクタが1系統。スピーカー端子も1系統です。RCA端子とスピーカー端子は金メッキが施されたしっかりとしたものです。特にスピーカー端子は、中国製のデジタルアンプだと太いケーブルが入りませんが、これは問題なく入ります。 DCインは12V・3Aでセンタープラスです。 |
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(内部について) | |||||||||||||||
先代の鎌ベイアンプでは、Ver.1とかVer.2と呼ばれた基板がありましたが、「KRO」では新設計の基板に変わっています。 内部は改良されたといっても、回路もパーツもToppingやS.M.S.Lのなどの中国製デジタルアンプよりも、だいぶ見劣りします。 日本のメーカーとはいえ、オーディオのノウハウが少ないところが作ると、こうなっちゃうのかなという感じです。当時は第1次デジアンブームともいえる状況でしたので、この「波」に乗り遅れまいとして、作られたのかもしれません。 YDA138の後ろにあるローパスフィルターのインダクタやコンデンサも安物です。ここは、けっこう音質に与える影響が大きいです。 やはり音質への影響が大きいのが入力カップリングコンデンサ。ToppingやS.M.S.Lならば音質の評価が高いフィルムコンデンサが使われていますが、SDA-1000では中国のCheng製の電解コンデンサを使っているようです。 もうこなると、表面実装のコンデンサや抵抗なども安物の可能性が高いです。そうなると電解コンデンサを、国産のオーデイオ用に代えても、音質は期待したほど上がらないかもしれません。 まあ、それだけの投資をするならば、最初からS.M.S.LのSA-36シリーズや、TOPPINGのデジアンを買ったほうが、安くて良い音を得られると思います。 |
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メイン基板 | |||||||||||||||
(プリ部) | |||||||||||||||
以前はなかったオペアンプ「LM324AD」が2個搭載されており、もしかするとノイズ対策のためにライン入力の信号のゲインを上げているのかもしれません。 ボリュームは無段階抵抗タイプに変更ということですが安物です。密閉型ではないので、後からいろいろとトラブルが出そうです。 電解コンデンサは「Cheng」というメーカーで中国製のようです。 |
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(パワーアンプ) | |||||||||||||||
デジタルアンプICのYAMAHA「YDA138」は、増幅回路の他に、スタンバイやミュート機能、過電流や過熱抑制などの保護回路が搭載されています。 ブロック図を見ると、オシレータによって三角波を発生させて、アナログ信号をデジタル変換し、バランス型のモジュレーションユニットでパルス幅変調(PWM)し、シフトレジスタ、NORゲートを通して出力しています。 特徴は「ピュアパルスダイレクトスピーカードライブ回路」の搭載により、出力用のLCフィルターが必要ないため、部品コストの節約が可能となり、消費電力が少なく発熱も低いため、放熱板が不要になるなどです。発売当時のサンプル価格は600円。 LCフィルターというとオーディオでは、1970年代から音質劣化の原因のように、扱われたこともありましたが、要は回路設計とパーツの品質にも関係する訳で、いちがいにLCフィルターが悪い訳でもありません。 これはデジタルアンプICでも同じことで、A/D変換時の三角波の精度が悪ければ音質は悪化しますし、量子化ノイズ対策がキチンとできていなければ、LCフィルタを使用した方が音が良くなります。 何よりも、この鎌ベイアンプが「YDA138」を搭載していながら、ノイズ対策のためにLCフィルタを後付けしていることからも、LCフィルターの必要性がわかります。 「YDA138」の宣伝文句では音質向上のために、フィルターレスにしたように書かれましたが、「YDA138」のデータシートには、フイルター無しで使用する場合の、スピーカーのインダクタンスの注意事項や、YDA138の後ろにLCフィルタを取り付ける際の、カットオフ周波数について書かれています。 つまりメーカーはLCフィルターが後付けすることを、想定して設計を行っていたとも言えます。 |
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定格出力 | 10W+10W(8Ω) |
周波数特性 | |
高調波歪率 | 0.02%(1KHz/8Ω) |
ダイナミックレンジ | 103dB |
スピーカー インピーダンス |
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電源(ACアダプタ) | 12V・3A センタープラス |
サイズ | 幅152×高さ41×奥行113mm (サイドパネル、インシュレーター装着時) |
重量 | 480g |
デジタルアンプ |
USB DAC |
ヘッドホンアンプ |
DAP |
イヤホン |
ヘッドホン |
オーディオケーブル |
PCオーディオTOP |
オーディオTOP |