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Lepai LP-2020A+

実売1,500円~2,000円





Lepai LP-2020A+は、中国のBukang Technology社のデジタルアンプです。「Lepai」は社名ではなく、ブランド名ですが、 2013年から中国での商標の問題で、LepaiからLepyに現在切り替えが行われています。カラーはケース部分の色の違いでブラックとシルバーがありました。

Lepai LP-2020A+は心臓部となるデジタルアンプICに、Tripath(トライパス)社の「TA2020-020」を搭載しています。TA2020-020はAB級アンプのオーディオ特性とD級アンプの電力効率を持つアンプとして開発され、多くの中国製デジタルアンプや自作用のキット、パーツとして販売されました。

Tripath社は2007年に倒産したため、TA2020-020の調達が難しくなります。一時期、韓国で再生産されましたが長くは続かず、テレビなどの中古の家電品から取り外されたTA2020-020を使用するメーカーもありました。


TA2020-020自体の評価は非常に高いですが、LP-2020A+の製品としての出来は今ひとつ。価格が安い分、使っているパーツが良くないのも事実です。

そのあたりの影響からかS/N比はTA2020-020では99dBあるにも関わらず、製品全体としては80dBしかありません。


パーツと製造レベルの個体差が激しいのは輸入元のNFJも認めており、NFJ側で特性にバラツキがあり、信頼性が劣る中国製のコンデンサなどのパーツを、音の良い日本製に交換して販売したり、自分で交換している人も多いのが実情です。


※「Lepai」のブランド名は中国国内での商標の問題で、2013年から「Lepy」に切り替えが行われているため、製造時期によって名前が違います。

これを一部の輸入業者が、LP-2020A+の偽物商品「Lvpin LP-2020A+」を売るために、、Lepaiはメーカー側の事情により閉鎖、全営業を停止し新規一転 Lvpin社として再出発したなどと、ウソの情報を流して、amazonなどで販売を行い問題となりました。



LP-2020A+の後継モデルはというとLP-2024A+ということになります。
現在、AmazonsなどではLepy LP-2020Aという商品が販売されています。ケースはLP-2020A+と同じですが、基板はLP-2024A+に似ています。

すでにTA2020-020は調達できないので、他社のデジタルアンプICにLP2020Aと印刷したICを搭載しています。

このLepy LP-2020Aを「Alibaba」で調べてみると、以下の3社が製造メーカーとして登録されています。

Shenzhen Miduomei Technology
深セン Yuzens技術有限公司
Shenzhen Setsail Business

Lepyの正式な社名は「乐派科技发展有限公司」ですので、つまり大元の偽物を作ったところが1社あり、その偽物の偽物を作ったところが2社あるということです。

中国では今でも1つヒット商品が出ると、複数のメーカーが偽物を作るので、注意が必要です。「Nakamichi」のバナナプラグもそうですが、商標やコピー品に対する甘さは変わっていません。

それにしてもLP-2024A+のICが2017年から、Tripath TAA2008に変わったとのことですが、Tripathは倒産しているのに誰がICを作っているのでしょうか。

ちなみに、中国は廃番になったICの一大生産地でもあり、キチンとリバース・エンジニアリングして作ったICもあれば、仕様どおりに動かない粗悪品もあります。




(音質について)
TA2020-020は高音質のデジタルアンプICですが、それを搭載しているからといって、全部のデジタルアンプが音が良い訳ではありません。それほど世の中は甘くないです。

ネット上のレビューでは判を押したように「クリア」という言葉が並びますが、スバリ言ってしまえば、それほどクリアな音ではありません。こういうレビューはその人がどれだけ「クリア」な音を聴いたことがあるかという、いわば経験値で決まってしまうため、しょうがありません。

確かにパソコン自体の出力端子からアクティブスピーカーにつなげたよりは、音はクリアになりますが、良くてミニコンポかピュアオーディオの初級機レベルです。

全体的には音が軽いです。高音は伸びは無いですし、解像度が悪いので細いところは出ません。低音は締まりが無くてブーミーです。

スペックで音の善し悪しが決まる訳ではありませんが、S/N比はチップ(TA2020-020)で99dBもあるのに、それがアンプ全体となると80dBしかないですし、高調波歪率にいたっては0.4%と1ケタ悪いです。これはやはりTA2020-020以外の回路の設計や、他のパーツに問題があるとしか言えません。

ただ、何といっても価格は2000円以下。コストパフォーマンスとなると圧倒的といえるかもしれません。



もともとTA2020-020を搭載して音が良いと評価を得ていたのは、ラステームやS.M.S.L、TOPPING製のデジタルアンプです。
これらが入手できていた時はLP-2020A+は、音質の面ではほとんど注目されておらず、これらのユーザーからすると「TA2020-020」を積んでいるからといって、いっしょにするな」という感じでした。

事実、SA-36Aと聴き比べると音が濁っているように感じます。「宝の持ち腐れ」とは、このアンプのための言葉かもしれません。


ところがラステームは倒産、S.M.S.L SA-36AはTA2020-020の入手が困難になった為に、PROと名前を変えてチップを変更。結局、TA2020-020搭載で価格を含めて入手しやすいアンプは、LP-2020A+だけとなってしまいました。

またラステームやS.M.S.L製のTA2020-020搭載アンプは、オークションに出てくる玉が少なく価格も高いため、消去法的にLepai LP-2020A+が「売れた」というのもあるかもしれません。

ただそのTA-2020-020も在庫が尽き、Lepy(Lepai)は後継機としてTA-2024を搭載したLP-2024A+を発売しています。

このLepai LP-2020A+を輸入・販売しているNFJ自身が、「Lepaiブランドは中華アンプの代名詞的ブランドで決して品質がよいというわけではございません。」とか「あえて申しあげますが、過大な期待は禁物です。」とブログで書いているとおり、ネットでの評価はちょっと過大になりすぎているのかもしれません。

ただ、このようなことは伝説的なチップには良くある傾向で、1980年代のフィリップス製DAC「TDA1541」や、1990年代のバーブラウン製DAC「PCM1704」を搭載したCDプレーヤーなどでも見られました。






(フロントパネルとリアパネル)
安いデジタルアンプでもフロントパネルには厚めのアルミ材を使用しているものが多いですが、Lepai LP-2020A+はフロント、リアともに薄いアルミ板です。

小型のデジアンとしては珍しくトーン回路があるため、TREBLE、BASSのつまみがあります。またフロント側にメインスイッチがあるのは便利です。

リアパネルのRCA端子は金メッキされていませんが、価格的には仕方のないところ。スピーカー端子はワンタッチ式で太いケーブルは入りません。

電源アダプタは12V・2Aが推奨。センタープラスです。

フロントパネル リアパネル
左からメインスイッチ、トーンコントロールのON/OFFスイッチ、TREBLE、BASS、ボリューム RCA入力端子、MP3(ミニプラグ)入力端子、スピーカー端子、DC IN


(ケースや内部について)
ケース本体はアルミ製のBOX構造で、基板はスライドさせて差し込み、フロントとリアパネルを使って固定する方式です。Lepai LP-2020A+に限らず、中国製のデジタルアンプではよく見られる構造です。

ケースは強度の向上と振動防止のために天板から側面にかけてリブが入っています。フロントとリアパネルはアルミ製ですが薄板が使われています(初期のモデルは鉄製)。底面にはゴム足などは付いていません。

手で持つと本当に軽いです。小型のデジタルアンプでも、多少の重さがあったほうが、外部振動による基板への影響を低減できるので音質には有利です。Lepai LP-2020A+は振動には不利ですが、オールアルミのケースは非磁性体なので、この面では音質的に有利です。

価格からすれば「頑張っている」ケースで、TA2020-020だけでなく、このケースのことを褒めてやってほしいという感じがします。

ケース本体 ケースとメイン基板


(内部について)
Lepai LP-2020A+はメーカーにより何度が回路の変更が行われており、製造時期により基板の色も変わっています。また日本のNFJにより、パーツを変更したカスタムモデル(特別仕様モデル)も生産されています。

このモデルは2012年頃に買った物で、ケースや基板のロゴは「Lepai」のままです。最後期のモデルと違ってIC用の平滑コンデンサが1個、スピーカーリレーはOMRON製が使われています。
また平滑コンデンサの前にはノイズフィルターも装備されています。


NFJのカスタムモデルは、ロットにより交換しているパーツの数や種類が違いますが、最終ロットではオリジナルの製品から、オペアンプ、電解コンデンサ、フィルムコンデンサ、パワーインダクタ、ボリューム、金属皮膜抵抗を交換しています。

いわばデジタルアンプICのTA2020-020以外の主要パーツは、ほとんどが交換されており、オリジナルと比べると中味は別のアンプといえます。

NFJとメーカーとの闘いの歴史には頭が下がるばかりですが、逆にいえばオリジナルのままだと、それだけ「しょぼい音」だったともいえます。

メイン基板


(プリ部)
ボリュームは音質への影響がとても大きいのですが、使われているのは残念ながら音の悪い安物のボリュームです。

LP-2020A+に使われているのは確かにBカーブのボリュームですが、AカーブかBカーブかは抵抗値の変化が、指数か直線変化かの問題であり、音質の劣化が少ないかどうかとはまた別の問題です。

デジタルアンプでは最終的にはICの中で演算処理により、音量の調整をしますが、このプリ部においては、アナログ信号がボリューム内を通過し、ここで音質が劣化してしまうため、ICの中では劣化した音を増幅することになってしまいます。

パーツ交換をする場合はオーディオ用のボリュームが望ましいですが、標準品のAカーブのボリュームより3倍ぐらい高いです。(パーツショップによっては普通のAカーブのボリュームを、オーディオ用と称して売っているところもあるので注意)


左がメインボリューム。右の2つがトーン回路用のボリューム。 オペアンプ


(パワー部)
回路としてはデジタルアンプICのTripath TA2020-020とローパスフィルター、リレー回路からなっています。

TA2020-020はもともとDVDプレーヤーやミニコンポ、テレビ、パソコンなどの内蔵アンプ用のDクラスアンプとして開発されたデジタルアンプICです。

TriPath社独自のDPP(DIGITAL POWER PROCESSING)技術を搭載しており、AB級アンプのオーディオ特性とD級アンプの電力効率を持っています。

定格出力はチャネルあたり20W・4Ω(最大出力は25W)で、ダイナミックレンジは 99dB。高調波歪率は0.03%(10W・4Ω)、S/N比は99dBという性能を持っています。デジタルアンプの特徴は高い電源効率ですが、12W・8Ωで88%となっています。

TA2020-020には過電流や過温度保護回路が内蔵されており、ターンオン&ターンオフポップ抑制回路が搭載されています。
Lepai LP-2020A+では、特に電源OFF時に大きなポップノイズが発生する問題がありますが、ターンオン&ターンオフポップ抑制機能は、チップ内のパワーMOSFETのターンオンとターンオフ遅延時間に対応する回路のため、この問題には対応※できません。パッケージは32ピンSSIP。


TA2020-020は普通のデジタルアンプICのような、三角波によるPWM(Pulse Width Modulation・パルス幅変調)は使用していません。

使われているのはDPP(DIGITAL POWER PROCESSING)という独自の技術で、トライパスはClass-AとClass-ABの利点を組み合わせた、アナログ的なアプローチを行っていると説明しています。

内部には適応信号処理プロセッサ、デジタル変換、ミュート制御、過負荷・障害検出、予測処理、認定ロジックなどの回路があり、それにスイッチング回路による増幅部が搭載されています。

入力信号を変調する際には、適応型と予測型の独自のアルゴリズムを使用しています。これにより周波数が変化する、複雑なデジタル波形を作り出し、さらに出力トランジスタを、従来のデジタルアンプICよりも3倍ぐらい高速動作させて、音質を向上させているそうです。

これによりPWMを使用したデジタルアンプICの、音質的な弱点になるグランドバウンス、デッドタイム歪み、発振器からの残留エネルギー、そして放射ノイズを抑えています。

デジタルアンプIC増幅した信号には、高周波のノイズ成分が含まれているため、ローパスフィルターを通してアナログ波形に戻すとともに、ノイズ成分をカットしてスピーカーに出力します。



(電源部)
デジタルアンプICの中にあるスイッチング回路では、1秒間に数十万回という高速なスイッチング処理が行われます。

単純に動作するかどうかという観点から見れば、ICに3Vや5.5Vの電源を供給してやれば良いのですが、スイッチング回路ではごく小さな電圧の変動でも歪みやノイズが発生し、これが音質の悪化となります。

そのためデジタルアンプでは電源の安定化が音質の重要なファクターとなります。またアナログ信号をA/D変換する際に、変換精度を高めるためにも電源の安定化は必要といわれています。


TA2020-020のデータシートでも安定した電源が推奨されていますが、電源部は何分にもコストがかかるので、中国製のデジタルアンプでは12V程度のACアダプタから給電し、電源の安定やノイズ除去に効果がある、内部の電解コンデンサは本数が少ないというのが一般的です。

Lepai LP-2020A+は価格の割に頑張っており、平滑コンデンサは63V・12000μFが1本。その他に、TA2020-020やオペアンプ用に専用の電解コンデンサを装備しています。


※NFJのブログによると電源ON時のポップ音は、リレーを動作させる時間が短いために発生しており、電源OFF時のポップ音は、プリ部のオペアンプがTA2020-020よりも先に落ちるために、ここで発生したポップ音がTA2020-020で増幅されて大きな音になるそうです。

Tripath TA2020-020 ローパスフィルター

ローパスフィルターと
オムロン製のパワーリレー
平滑コンデンサ

Lepai LP-2020A+のスペック

定格出力 20W+20W
周波数特性 20Hz~20kHz
高調波歪率 0.4%以下
S/N比 80dB以上
スピーカー
インピーダンス
4Ω~8Ω
電源(ACアダプタ) DC10~14V 2A センタープラス
サイズ 幅140×高さ40×奥行110mm
重量 300g





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DAP
イヤホン
ヘッドホン
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