TOP >PCオーディオデジタルアンプ > FX-502J

FX-AUDIO- FX502J-S

価格 8,610円





FX-AUDIO- FX-502J-Sは2018年6月29日に発売されたデジタルアンプです。
発売時の価格は7,980円でしたが、現在は8,610円になっています。


FX-AUDIOには「502」の型番が付いたモデルが複数あり、搭載しているデジタルアンプICや回路が違うので、間違えないようにする必要があります。

FX502J(TPA3116搭載) 4,830円 2017年12月発売
FX-502J PRO(TDA7498搭載) 6,450円 2018年7月発売


FX-502J-SはデジタルアンプICにTI製の「TPA3250」を搭載しています。
実はデジタルアンプに使われているICは、オーディオの他に液晶テレビやカーナビなどにも使われる汎用タイプが多いのですが、TPA3250はプレミアム・サウンドバーや、ミニコンポ、ブルーレィデスクプレーヤーなど、純粋にオーディオ向けとして作られたデジタルアンプICです。

特徴は92%という高い出力効率とTHD + Nが0.005%(4Ω・1W)という低歪みです。
DENONが採用しているフルデジタルアンプの「DDFA」のTHD + Nは0.004%なので、いい勝負です。どちらもフィードバック回路によって歪を少なくしています。

ちなみにアナログアンプでは、THXの特許技術「THX Achromatic Audio Amplifier(AAA)」というフィードバック技術を使って、歪率が0.00006%という製品もあります。


フィードバックを強く掛ければ歪率が少なくなることと、掛け過ぎると数字が良くても、かえって音質が悪くなることは、1980年代から知られています。
ですから単純に「歪率が少ない=音質が良い」とはならないのですが、メーカー側もオーディオ製品が売れないので、苦しまぎれに宣伝する場合もあります。

DENON PMA-SX1 LIMITED(902,000円) 全高調波歪率 0.01 %
DENON PMA-60(70,000円) 全高調波歪率 0.004 %

聴き比べてPMA-60のほうが音が良いと思う人はまず、いないと思います。



FX-502J-Sのローパスフィルターのインダクタは空芯コイルを採用。フィルムコンデンサはKEMET MMK(PILKOR MKTメタライズフィルムコンデンサから変更)です。

出力カップリングコンデンサは、Panasonicの積層メタライズドPPSフィルムコンデンサ ECHUを使用しています。


入力用のカップリングコンデンサはITW製のメタライズドフィルムコンデンサ。バッファアンプはTI製のオペアンプ「NE5532」が左右独立で使われています。オペアンプはソケット式なので、後から交換することができます。


FX-AUDIO- はデジタルアンプやUSB-DACで、容量が大きいデカップリングコンデンサ(平滑コンデンサ)を置くのが普通ですが、FX-502J-Sにはそれがありません。

TPA3250用のバルクコンデンサとして、ルビコンの一般品 YXG 35V・1800uFを2本配置しています。

しかし下級機のFX-502Jでは、平滑コンデンサ+バルクコンデンサ 4本という構成になっており、FX-502J-Sよりも強力な回路になっています。しかもバルクコンデンサはオーディオ用のコンデンサで、FX502J-Sよりも良いパーツを使っています。


平滑コンデンサの有無は音質にも大きな影響を与えますが、 手軽な改善方法としては、FX-AUDIO-から発売されている「Petit Tank DC電源ノイズクリーナー・バルクキャパシタ」を使用することです。Petit Tankは外付けの平滑コンデンサとして機能します。

取り付けてみると音の解像度や中音域の張り出し、全体的な量感など、音がワンランク以上も良くなりました。逆に言うと電源回路が足を引っ張っていた訳です。


アンプの音の良し悪しは、電源の余裕度やコンデンサの充放電スピードなど、パーツの影響も大きいです。昔から言われていることですが、オシロスコープで波形やノイズのレベルが良くても音質は良くならないのです。



MCU(ST製の8bitマイクロコントローラ 8S003F3P6)で制御するプロテクション回路内蔵しており、ポップノイズの抑制を行います。
またTPA3250には保護回路が搭載されており、出力短絡、過電流、過熱に対して回路を保護します。フロントパネルにPROTECTION インジケーターを装備しています。

また外部からのリップルやノイズを低減するために、MOS-FETを使ったアクティブフィルターを搭載しています。


ACアダプタは別売で、電源はDC 12V~24V、電源容量2A以上が推奨となっています。



(ポップノイズと発熱について)
デジタルアンプを購入する際にポップノイズや発熱を気にする人は少なくないかと思います。

結論から言うとポップノイズも発熱もあります。ただポップノイズはかなり小さく制御されています。

発熱は使用するACアダプタによって違くなります。24VのACアダプタを使用すると、部屋で
BGM的に流すぐらいの音量でも、けっこう発熱します。20V、12VとACアダプタの電圧が低いほど発熱は少なくなります。



(音質について)
FX502J-Sの音は高音はスピード感がありますが、中音・低音は何か「モタモタ」した感じがあります。

これは解像度があまり良くない、特に中音・低音の解像度が悪いことが原因かもしれません。

高音は少しキャラクタがありますが、良く伸びます。それに対して低音は出ないです。量感も少ないです。レンジや音場は狭いです。
この傾向は24VのACアダプタを使っても変わりません。


価格の近いFX-1002Jに比べると、少し柔らかい音ですが、FX-1002Jを上回る部分は、ほとんどありません。オペアンプを交換してどうなるかという感じですが、「自力」はFX-1002Jがかなり上なので、MUSESやOPA627などの高級品じゃないと、望みは薄いかもしれません。

ちなみにMUSES01/02だと2個で7000円、OPA627シリーズは2個で8000円ぐらいします。OPA627はamazonやオークションでも購入できますが、大半が偽物です。専門のパーツショップで購入しないと危ないです。


音のレベルというと、価格の安いFX-98EやFX-502Jにも負ける部分が多いです。
前述のように、「Petit Tank DC電源ノイズクリーナー・バルクキャパシタ」を使用すると、かなり音質が改善します。これで何とかFX-98EやFX-502Jと互角ぐらいの音になります。



実はFX502J-Sは、常時販売されている訳ではありません。けっこう販売休止になっている期間も長いです。だから今回買ってみたのですが、ちょっと期待を裏切られる結果になりました。

TPA3250はTIがオーディオ用だと宣伝しているものの、有名メーカーで搭載しているのは、このFX502J-Sと、その海外仕様のFX502SPROだけ。他はBRZ HiFi TPA3250、Kaisaya TPA3250。そして完成品のアンプ基板が数種類あるだけです。



(フロントパネルとリアパネル・ケース)
フロントパネルは6mm厚のアルミ材で、カラーはシルバーとブラックがあり、パネルもケースもヘアライン仕上げです。
他のFX-AUDIO-のデジタルアンプと比べると少し背が高いです。


フロントパネルの電源スイッチは、レバー式スイッチではなく、電子スイッチです。電源を入れるとボリュームの周りが光るというのが、よくあるデザインですが、FX-502J-Sにはそれがありません。
スイッチの下の赤いパイロットランプ光ります。パイロットランプの隣りにあるのは、TPA3250の保護回路が動作した時のインジケーターです。



リアパネルのRCA端子は金メッキがされています。スピーカー端子はこのクラスのデジタルアンプとしては、標準的なものですが端子としては安物の部類になります。

スピーカーケーブルを通す穴が小さいので、細いケーブルしか使えません。また端子の間隔が狭いので取り付け作業がやりにくいです。実質的にはバナナプラグ専用と考えたほうがよいです。

DCインは12V~24Vでセンタープラスです。

フロントパネル リアパネル

アンダーパネル





(TPA3250について)
TI TPA3250は、2015年に発表されたデジタルアンプICです。

特徴は統合型フィードバック設計(フィードバック回路)と独自の高速ゲートドライバエラー訂正機能(PurePath Ultra-HD)により、THD + N(全高調波歪+ノイズ)は0.005%(4Ω・1W)と低歪みのアンプになっています。

これに加えて60mΩのMOSFETの採用で、アイドル損失を大幅に低減して92%(8Ω動作時)という高い効率を得ています。

最大出力は130W x 130W(4Ω 32V時)ですが、FX-502J-Sでは50W+50Wに抑えています。

電源はICレベルでは12V~36Vまで動作可能ですが、FX-502J-Sでは回路設計上、12V~24Vとなっています。

TPA3250の内部には低電圧、過熱、クリッピング、短絡などの保護回路があり、エラー報告機能を装備しています。

価格も高いICでTPA3116が1個200円(2000個発注時)に対して、TPA3250は450円ぐらいします。STのTDA7498Eよりも少し高いです。

基板

TPA3250の
ヒートシンク
ローパスフィルター
空芯コイルと
フィルムコンデンサ

バルクコンデンサ
ルビコン YXG
ITW
フィルムコンデンサ

オペアンプ
TI NE5532
MCU
ST 8S003F3P6)


FX-AUDIO- FX502J-Sのスペック

最大出力 50W+50W
高調波歪率
S/N比
スピーカー
インピーダンス
4Ω~16Ω
電源(ACアダプタ) 12V~24V センタープラス
サイズ 幅92mm×高さ42mm×奥行158mm
重量 462g





デジタルアンプ
USB DAC
ヘッドホンアンプ
DAP
イヤホン
ヘッドホン
オーディオケーブル
PCオーディオTOP
オーディオTOP





FX-AUDIO- FX502J-Sの音質やレビュー  B級オーディオ・ファン