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NEC CD-607 |
1984年 定価109,800円 |
NECのCD-607は1984年7月に発売されたCDプレーヤーです。NECにとってはCD-803(1982年)、CD-705(1983年)に続く弟3弾のCDプレーヤーとなります。 当時、メーカー各社は宣伝では「高音質」を唱っていましたが、実際の合い言葉は「回路の集積化」。CDプレーヤーのコストダウンや工場での生産性の向上、故障率の低下、保守サービスのし易さからも回路のLSIやIC化は必然でした。 また日本企業は電気製品の「軽薄短小」が得意で、その結晶として誕生したのが世界初のポータブルCDプレーヤーSONY D-50(49,800円)です。 NECはパソコンPC-9801などを発売し、「エレクトロニクス」に強いという印象でしたが、1号機のCD-803は集積化が間に合わず、またサーボ回路や信号処理回路などの技術が低かったことから、大量のパーツを使って動かしていました。2号機のCD-705でもまだたくさんの部品が必要で、基板を縦置きにするなどしてやりくりをしています。 CD-607では自社でも集積化を進めるとともに、YAMAHAのチップを導入(宣伝ではあたかも自社製のように宣伝)し、サーボ、信号処理、システムコントロールなどの「デジタル回路」を大幅にコンパクトにしています。 またNECの売り物だったND(ノン・ディレイ)フィルターというデジタルフィルターも、当初4個だったチップをCD-607では1個のLSIに収めています。おかげでCD-803で7枚もあった基板が、2枚と大幅にスリムダウンしました。 D/Aコンバーターは当時の標準ともいえるバーブラウンのPCM53JP-Vを搭載。他の回路から干渉を受けやすいオーディオ回路はシールドパネルによって隔離されています。 (音質について) CD-607の音はレンジや音場は広くはありませんが、明るく軽快なタッチで80年代に流行していた洋楽にピッタリという感じの音です。当時の雑誌によるとNECのラインアップとしてはCD-607は普及機という位置づけで、上級機としてまだCD-705を販売しておりクラシックやジャズはCD-705の受け持ちだったようです。 CD-607の価格が109,800円といっても、当時はまだCDプレーヤーの価格は高くエントリーモデルでも79,800円〜89,800円という時代でした。 NECは翌1985年4月にCD-607をベースにしてCD-609(125,000円)を開発し、CD-607の上級機として発売します。CD-609は底板を3.2mm厚の鋼板に変え焼結合金のインシュレーターを装備。チャッキングアームやトランスの改良を行い、サブコード端子とリモコン対応のために小さな基盤を増設しています。 CD-609は雑誌での評価は高かったものの、出た時期がMarantz CD-34のすぐ後とタイミングが悪かった。「プリメインA-10UのCD化」というキャッチフレーズで宣伝したものの内容、価格、当然C/PもCD-34には歯が立ちませんでした。 |
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(フロントパネル) | ||||||||||||||||||||||||
フロントバネルはヘアライン仕上げで、10キーが無いのでサッパリとした印象です。CD-607にはSTOPボタン(初期のNECやSONYのプレーヤーではリセットボタン)がありません。実はPLAY/PAUSEボタンを長押しするとSTOPになるという仕掛けです。 | ||||||||||||||||||||||||
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(内部について) | ||||||||||||||||||||||||
シャーシはプラスチック製です。1984年当時の普及モデルでは普通のことで、磁気歪を低減するためにも役立つためよく使われていました。インシュレーターは無く小さなプラスチック製の脚が付いています。 内部は左側にドライブメカとトランス。メカの下にはサーボ回路の一部もあります。基板は左側の奥が電源回路、右側の奥がオーディオ回路、手前側はデジタル回路となっています。 基板の前の方は主にデジタル回路でサーボ回路、信号処理用、システムコントロール用のチップが並んでいます。 |
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(電源回路) | ||||||||||||||||||||||||
電源回路はプリメインアンプのA-10と同様に、低インピーダンス化により電流供給能力の増大を計っています。 電源トランスは22VA。ブルーのコンデンサはニチコンのNXD 35V・2200μF。ブラックのコンデンサは同じくニチコンのSMです。 |
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(デジタル回路 サーボ・信号処理・システムコントロール) | ||||||||||||||||||||||||
デジタル回路でメインとなるのは実はYAMAHA製のチップ。「YM3511F」はサーボコントロール用のチップで、合わせてEFM信号やサブコードの復調などの処理もしています。「YM2201F」はCDの音楽信号の処理用のチップで、インターリーブ復調、誤り検出、誤り訂正などを行っています。 つまりNECは3号機にして自社のサーボ回路を放棄してしまった訳です。ただ偉いのはその後回路の開発を復活させ、世界初となるデジタルサーボ回路を完成させることになります。 システムコントロールにはNEC製のマイクロコントローラ「PD7519G」が使用されています。 |
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(DAC・オーディオ回路) | ||||||||||||||||||||||||
オーディオ回路のD/Aコンバーターは16bitのバーバラウンPCM53JP-V。デジタルフィルターはNEC製の16bit・オーバーサンプリングのNDフィルター「μPD6351CA」です。 DACの後ろ側はスチール製のシールドパネルに囲われて、デジタル回路や電源回路からの干渉を防いでいます。アンプ部はDCサーボ回路になっています。 |
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(ピックアップ・ドライブメカ) | ||||||||||||||||||||||||
ピックアップ・ドライブメカはチャッキングアームを使用したタイプで、当時としては標準的なものです。メカベース部分は鋼板とエンジリアリング・プラスチックを使ったもので、強度もしっかりとしています。 ピックアップはNECのシールが貼られていますが、SONY製の「KSS-121」です。スライド機構はギヤ式です。アクセスは少し遅め。ディスクの有無は独立したセンサーで感知しています。 |
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(出力端子) | ||||||||||||||||||||||||
出力端子はアナログの固定出力が1系統のみです。リアパネルには他にタイマースタンバイ用のスイッチがあります。 |
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周波数特性 | 5Hz〜20kHz ±0.3dB |
高調波歪率 | 0.005% |
ダイナミックレンジ | 90dB |
S/N比 | 90dB |
チャンネル セパレーション |
90dB |
消費電力 | 28W |
サイズ | 幅430×高さ90×奥行320mm |
重量 | 6.0kg |
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