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ピックアップレンズの汚れ |
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(原因)
CDプレーヤーはいわば密閉状態にありますが、トレイの開閉時にホコリが侵入したり、CD自体についていたホコリが、回転時に内部で飛び散ってしまい、ピックアップレンズが汚れます。
(対策)
綿棒にアルコールなどのクリーニング液をつけて、ピックアップレンズのレンズをクリーニングします。
1.クリーニング液について
ピックアップレンズのレンズの汚れは、ほとんどはマイクロダストが、こびり着いたものかタバコのヤニなどです。そのため綿棒にクリーニング液をつけずに拭いても、汚れが取れないことが多いです。
一番良く使われるのが無水アルコールで薬局で購入できます。他にはカメラ用のレンズクリーナーやメガネ用のレンズクリーナーなども考えられます。
ただし、レンズクリーナーの中には洗浄剤入りのものがあります。これらはレンズを拭いた後でも、界面活性剤などの洗浄剤が残ってしまうので、仕上げにからぶきを入念にする必要があります。※洗浄剤が残っていると音質の劣化につながります。
2.レンズの拭き方
強くこするのはNGです。レンズは正式には「対物レンズ」と呼ばれるもので、その下にアクチュエーターという部品が付いています。アクチュエーターはレーザー光を、CDのピットと呼ばれる穴(ミクロン単位の大きさ)に、正確に当てるために動く精密部品です。
拭き方はレンズを綿棒で撫でるような感じで拭きます。レンズの真ん中から円を描くように外側に向かって拭いていきます。これを3~4回繰り返します。
拭き終わった綿棒が黒や茶色になるほど汚れているのであれば、新しい綿棒にクリーニング液を付けて、クリーニングを繰り返します。
3.CD型のレンズクリーナーの問題
CDプレーヤーの中を開けずにクリーニングできるのがメリットですが、実はデメリットも多いです。
CD型のレンズクリーナーは、CDの内周部に小さなブラシが取り付けてあり、これでピックアップのレンズのホコリを払う(湿式はふき取る)という仕組みです。
ところがCDの内周部というのは、非常に高速で回転するので、正確にいうとブラシがピックアップレンズに衝突しているのと同じです。このため逆にレンズにキズが付いたり、ピックアップのアクチュエーターを壊す可能性もあります。
クリーナーのメーカーは、レンズを傷付けないソフトなブラシを使っているいっていますが、使用時間は1回5秒までと設定しています。また音とびがあるプレーヤーには、使用しないようにと説明書に明記してあります。
※I/OデータなどPC用のドライブを販売するメーカーでは、この手のレンズクリーナーを使用しないように呼びかけています。
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ピックアップの出力不足や寿命 |
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(原因)
CDプレーヤー用のピックアップの寿命は約1万~1万5000時間はあります。
ただし、これはあくまでも目安です。CDプレーヤーをアンプの上に直接置いて使用して、内部が常に高音となっていたり、長い間湿った押入で保管していた場合などは、それよりも寿命が短くなります。
またSACDプレーヤーやユニバーサルプレーヤーのピックアップには、CD用ではなくDVD用のピックアップが使われているものがあります。DVD用のピックアップはCD用より、出力が大きいために寿命が短く、初期のものは5000時間ぐらいの物もあるようです。
寿命といっても、急にレーザーの出力が落ちるのではなく、除々に落ちていくため、ピックアップに付いているレーザーの出力ボリュームの調整で直る場合もあります。
(対策1)
ピックアップのレーザーの出力ボリュームを調整します。ただしSONY製のピックアップのように、出力ボリュームが調整しやすい場所に付いているものもあれば、ピックアップの裏側に付いているものもあります。裏側に付いている場合は、まずメカを本体から外してやらないと調整できません。
1980年代前半のCDプレーヤーには、出力ボリュームが基板に付いているものもあります。SACDプレーヤーやユニバーサルプレーヤーでは、ピックアップの裏側が多いです。
(対策2)
ピックアップの交換を行います。それにはピックアップの型番を行う必要があります。ネット上では当サイトを含め、機種別にピックアップの型番を公開しているサイトもありますが、製造ロットによって、ピックアップが変更されている場合もあるので、実際にCDプレーヤーに付いている型番を確かめる必要があります。
ピックアップは通販などでも入手できますが、古いCDプレーヤーでは入手できるものは限られます。そのような場合は、同型機や同じピックアップを使用しているモデルなどを入手してピックアップを移植します。
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サーボ回路の調整のズレ(アナログサーボの搭載機) |
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(原因)
1990年代初めまでのCDプレーヤーは、アナログサーボを搭載しています。これらのモデルはピックアップのレーザー出力に応じて、工場でトラッキングやフォーカシングなどの調整を行って出荷しています。
ところが生産から20年以上たっているため、ピックアップやサーボ回路などのパーツが劣化などにより、ゲインやオフセットとという調整値がズレてしまいます。
※デジタルサーボを搭載しているモデルは、トラッキングやフォーカシングなどの調整を、サーボ回路が自動的に行っています。
(対策)
アナログサーボを搭載モデルでは、サーボ回路にある調整ボリュームで調整します。
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トレイの開閉を検出するスイッチの接触不良 |
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(原因)
メカのところにはトレイが開いた状態か、閉じた状態かをチェックするためのスイッチが1~2個付いています。CDプレーヤーでは、このスイッチによってトレイが閉まったのを確認してから、CDを読み込みに行きます。
このスイッチの接触不良によって、トレイが閉まっててないと認識して、CDを読みにいかなくなることがあります。
(対策)
スイッチのクリーニングを行います。分解できないスイッチの場合は、隙間から接点復活剤を吹きかけると回復することがあります。
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回路のパーツの不良または配線の断線。 |
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(原因)
CDを読み込む時には、TOCと呼ばれるディスクに書き込まれている目次情報を読みに行きます。この時に少しだけディスクを回すモーター(スピンドルモーター)を回転させます。
このモーターが回転しないと読み込みができません。
このモーターの動作に関連しているのは、マイコンとサーボ回路(モーターの制御部を含む)です。これらの回路にあるチップやコンデンサ、抵抗などのパーツの不良によりモーターが回転しなくなることがあります。
また、これらの回路の配線が断線(ハンダ割れを含む)していても、モーターが動きません。
(対策)
テスターを使用して、不良となっているパーツや断線の箇所を探しだし、パーツの交換やハンダの修正などを行います。
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ディスク(CD)回転用のモーターの故障 |
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耐久性が求められる部品なので、古いCDプレーヤーでも発生の確率は意外と少ないです。
古いCDプレーヤーでは安い物でも日本製のモーターを使用していますが、最近のエントリークラスのモデルやミニコンボ用の物は、安い外国製のモーターを使用しているため、たまに起こるようです。
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テクニクス・パナソニックのCDプレーヤーの電解コンデンサの不良 |
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(原因)
1980年代~90年代に生産されたテクニクス・パナソニックのCDプレーヤーでは、電解コンデンサの耐久性が悪いため、サーボ回路自体が機能しなくなるというトラブルが発生します。
(対策)
電解コンデンサを交換するという方法がありますが、コンデンサのチェックや交換に手間がかかります。ジャンク修理を趣味としている人向け。
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パイオニアのCDプレーヤーのピックアップレンズの脱落 |
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(原因) 症状としてはTOCが読み込めていないので、ディスプレィにエラー表示が出て、トレイが開いてしまいます。
原因はパイオニアの1980年代~90年代中ごろのモデルでは、ピックアップのレンズの接着が悪く、レンズが脱落してしまうというトラブルがあります。ジャンク修理のサイトでネタとして、よく取り上げられますが、けっしてすべてのモデルで起きる訳ではありません。
(対策)
ピックアップレンズを接着してやると直ることが多いようです。使われているレンズは非球面レンズなので、本来は方向性が問題となるのですが、見た目では方向性はわかりませんので、動けは良しというところだと思います。 |