TOP > イヤホンの音質比較 > B&W C5 Series 2

Bowers & Wilkins C5 Series 2 のレビュー

オープン価格 実売2万円(税抜き)



B&W(Bowers & Wilkins)は、一般の人には馴染みがないかもしれませんが、オーディオファンには有名なイギリスのスピーカーメーカーです。

現在ではスピーカーの振動版としてポピュラーな、ケブラー(アラミド繊維)の振動板を1970年代に開発したことで知られています。

B&Wは長い間、ピュアオーディオ用のスピーカーをメインとしてきましたが、世界的なオーディオ不況により、2007年のiPod/iPhoneに対応したスピーカー「Zeppelin」などから、ポータブルオーディオ用の商品の販売も始めました。

そして2011年8月に発売されたのが、B&W初イヤホンとなる「C5」です。このC5を改良したのがC5 Series 2で、2014年9月に発売されました。


(C5とC5 eries 2の違い)

外観はセキュアループやケーブルの色がブラックになっただけです。

ダイナミック型のドライバーは9.2mmで、新開発のものを2基搭載したということです。
※写真を見るとドライバーは一体型になっているので、これを2基と呼んでよいのか疑問が残ります。


前モデルのC5は、直径9mmのドライバーを2基搭載。振動板は9μmの薄型、マグネットはネオジウム、ボイスコイルにはCCAW(銅クラッドアルミ線)を使用していました。

ところが、C5 Series 2のドライバーは、ボイスコイルはCCAWですが、その他の部分の説明が、メーカーのサイトから消えています。
B&Wは振動板の素材やユニットの構造などについては、キチンと説明する会社なので不思議です。

※海外の修理用のパーツの販売サイトの、C5 Series 2用のドライバーの説明でも、ボイスコイルのCCAWは書かれていますが、ネオジウムマグネットや9μmの振動板といった記述はありません。まさかのスペックダウン?


またケーブルはC5では無酸素銅のツイストケーブルでしたが、C5 Series 2では説明が消えています。

その他、タングステン製のステム(ノズル部分)、マイクロ多孔質フィルター、セキュアループなどは変更がないようです。

重量は10%軽量化されたなどと、書いているマスコミがありましたが、20gで変わっていません。

その他には、iPhoneなどで使用できるリモート・コントロールも変わっていないようです。(Androidは使用不可)



C5 Series 2の問題点


C5 Series 2は価格が2万円ですが、ハイレゾ対応のイヤホンではありません。

音質については、国内・海外ともに評価が大きく分かれています。ただ海外で音質を評価しているサイトでも、値段が高すぎる(日本流に言うとコスパが悪い)ということで、一致はしています。

結局のところ、売れなかったようで、改良型も後継機も発売されず、C5 Series 2で廃番となりました。


C5 Series 2の弱点は、貧弱なハウジングケースと、セキュアループと言えます。

C5 Series 2のハウジングケースは、ただの筒型のプラスチックです。

ネットで公開されている写真を見ると、ハウジングの内部は空洞で、ケーブルの根元部分はホットボンドで固定してあるだけです。


ダイナミックドライバーはハウジングに直接取り付けられていますが、ハウジングケースは、素材や形状ともに防振対策はされていません。

試しにハウジングの後ろ端を指でつまむと、振動が抑えられて、音がハッキリとします。

また、イヤーピースのステム(ノズル)へのかぶせ方によっても、音がけっこう変わります。


さらにセキュアループの直径の大きさによっても音が変わります。これはループの大きさによって反発力が変わり、ケースへの応力が変わるのが原因のようです。

つまり、これは音楽を再生するとハウジングケースが共振してしまい、音質が悪化しているということです。

この共振を緩和するために、マイクロ多孔質フィルターを使用して、音を減衰させながら、外に逃がしている訳です。
※最大入力が3mWに抑えられているのも、このあたりが原因かもしません。


マイクロ多孔質フィルターの役目は、ハウジング内部の音を外側に拡散させるもので、音をクリアにしディテールの表現性を向上させるというものです。

つまり音を外に出す構造なので、普通のカナル型イヤホンよりも、音漏れは少し多めとなります。

実際にマイクロ多孔質フィルターに耳を近づけて見ると、音量としては小さいものの、30cmぐらい離してもハッキリと音が聴こえます。

逆にマイクロ多孔質フィルターからは、外部の音も入ってくるので、遮音性は少し劣ります。

混雑している電車の中などでは、音量によって気を遣う必要があるかもしれません。


セキュアループは面白い機能ですが、下記のようにキチンと耳にフィットさせるのは難しいです。

携帯性という面でもマイナスです。ループは細いプラスチック素材なので、持ち運びの際には、ケースに入れておかないと、破損する可能性もあります。


誰しも感じることだと思いますが、2万円もするのに、ハウジングケースやプラグ、リモコンがプラスチック製で安っぽいです。

B&Wというブランド名と、2万円という価格による「プラシーボ購入」を見込んで、作られている部分があるイヤホンです。



C5 Series 2の音質について


音はフラットとカマボコの中間という感じです。

クリアで透明感があり、B&Wのスピーカーに似た音(美音系)をほうふつとさせます。低音の出方は普通で、締まりは良いです。全体的にはバランスがとれた音です。

ケーブルのタッチノイズはよく抑えられています。

ただし、ドライバーの能率が低いので、スマホやDAPなど再生機器の駆動力によって音に差がでます。



ふつうのイヤホンでは、耳にフィットしたサイズのイヤーピースを選べば、適正な挿入角度となり、耳との接触面積が増えることで、ステムの振動が抑えられ、ケースの振動も低減できるので、音質がよくなります。

ところが、C5 Series 2は、耳への挿入角度やノズルの深さはセキュアループで決まってしまいます。

セキュアループのフィットは、その人の耳の窪みや形で決まりますが、自在に動く訳ではないので、細かい調整は出来ません。


簡単に言えば、使う人の耳の形が、セキュアループに合っていなければ、イヤホンの最適な挿入角度やノズルの深さが得られないため、キチンとした音を聴くことが出来ないということになります。



C5 Series 2のフィットについて


C5 Series 2は「セキュアループ」を調整して、自分の耳にあわせて、耳にフィットさせていきます。構造上、シュア掛けは出来ません。

セキュアループは、ループ型のクッションを耳の内側の窪み部分にはめることで、イヤホンの本体をサポートさせる物です。

理論的にはループ部分は無段階で調整できることになっていますが、実際にはループが大きくなったり、小さくなるだけなので、調整範囲は限られます。

ファション的には面白いかもしれませんが、実用性にとぼしい仕組みです。


一見すると、しっかりと固定されるような印象ですが、実際にはループを固定させても、イヤホン本体は簡単に動いてしまいます。

フイットさせるためには、手間がかかるし微調整も難しいです。
でも結局は、イヤホンをしっかりと固定できるかどうかは、その人の耳の形しだいとなります。


イヤーピースはシリコン製で、可もなく不可もなくという感じ。ふつうは耳の穴の大きさに合わせて、イヤーピースのサイズを変えて、フィットさせる訳ですが、イヤーピースの保持力よりもセキュアループの圧力が強いので、音質的なベストポジションからズレやすいです。


セキュアループの素材は柔らかくはないので、長い時間、装着していると不快感を感じる場合もあるかもしれません。

また長く使っているとクセが付いたり、弾力性が無くなってくるので、調整がしにくくなります。



マイクロ多孔質フィルター

3.5mm4極プラグ

リモコン

ポーチ


B&W C5 Series 2のスペック


装着方式 カナル型
駆動方式 ダイナミック型
ドライバーユニット 9.2mm
再生周波数帯域 10Hz~20,000 Hz
全高調波歪率 0.2%以下 (1kHz/1mW)
出力音圧レベル 115 dB/1mW
最大入力 3mW
インピーダンス 14Ω
コード 約1.2 m(Y型)
プラグ 3.5mm金メッキ
L型ステレオミニプラグ
重量 20g
付属品 イヤーピース SS、S、M、L
キャリングケース





イヤホン
ヘッドホン
DAP
ヘッドホンアンプ
デジタルアンプ
USB DAC
オーディオケーブル
PCオーディオTOP
オーディオTOP





B&W C5 Series 2の音質とレビュー・評価 B級オーディオ・ファン