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SHARP DX-100

    1984年 定価79,800円


SHARP(シャープ) DX-100は、1984年9月に発売されたCDプレイヤーです。

SHARPは1970年代にオーディオ用のブランド「オプトニカ」を立ち上げますが、売上げは低調で1981年を持って、ごく一部の製品を除いて撤退します。でも1984年のカタログブックには、まだ1980年発売の製品が残っているなど在庫整理には苦労したようです。

SHARPのCDプレーヤーは、他のオーディオメーカーと同様に1982年に1号機「DX-3」(165,000円)を発売します。ただ最初からSONY、Technics、YAMAHAなどの大手メーカーには勝てないということがわかっていたようで、その後は国内ではミニコンポサイズの低価格モデルを中心に発売します。
CDプレーヤーの販売のメインはアメリカとヨーロッパ向けで、こちらにはフルコンポサイズの輸出専用モデルなどを投入しています。

DX-100はハデな赤のカラーといい、ごく普通のミニコンポ機かと思いきや、1985年の別冊FMfanの特集「長岡鉄男のCDプレーヤー22機種フルテスト」でも、取り上げられています。

実は当時のSHARPはピックアップやDAC、マイコンなど、CDプレーヤー用の部品を自社で生産しており、中でもピックアップの心臓部である半導体レーザーは優秀で、CDP-101などSONYの初期のCDプレーヤーやフィリップスのCDMメカでも使われる程でした。

DX-100にもこれらのパーツが投入されています。D/Aコンバーターは自社製の16bitDAC
「IR3K16」を搭載。ピックアップも心臓部に「VSISレーザー」を使用したもので、コストは高かったものの寿命は何と4万時間もあり、現在使われている半導体レーザー(寿命 約1万5000時間)よりも長寿命でした。

選曲システムはAPMS(AUTOMATIC PROGRAMMABLE MUSIC SELECTOR)と、APSS(AUTO PROGRAM SERCH SYSTM)を搭載しています。操作方法は下記のとおり変わっていますが、機能として特徴的なものはありません。



(音質について)
意外にも音はとても素直でドンシャリなどとは無縁。さすがにレンジや音場が狭いですが、まだ第2〜第3世代のCDプレーヤーですから、致し方ないところです。



(フロントパネル)
本体のカラーはブラックとレッドがありました。DX-100の「売り」のひとつが親切な日本語表示です。

ディスプレィの表示は上に経過時間の表示、専用のトラックナンバーの表示はありません。その代わり下のミュージックカレンダーのトラックナンバーが再生中は点滅するようになっています。

選曲(スキップボタン)とサーチボタンは変わっており、右側のダウンとアップは停止時のみに使えるボタン。早送りと早戻しは一時停止中のみに使用可で、再生中に使用するとスキップボタンとして動作します。



動画の音はビデオカメラの内蔵マイクで録音しているため、音質は良くありません。



(シャーシと内部について)
シャーシは鋼板製でしっかりとした造りです。実測重量は4.9kg。天板も鋼板製で申し訳程度の小さな防振材が貼ってありますが、叩けばよく鳴ります。脚はインシュレーターではなく小さなゴム脚です。

内部は左側がメカと電源トランス。右側の基板は2階建てです。下は左奥が電源回路で、残りがサーボ、信号処理、システムコントロールなどのデジタル回路です。上の基板は信号処理回路の一部と、オーディオ回路となっています。



底面



(電源回路)
電源トランスは20.5VAで、電源回路は独立電源ではありません。電源コードは細い並行コードです。
電解コンデンサはマルコンの2200μF X2本など。

電源トランス 電源回路

レギュレーター 電解コンデンサ


(デジタル回路 サーボ・信号処理・システムコントロール)
サーボ回路のメインとなるサーボ制御用のチップはYAMAHA製の「YM3531」で、EFMやサブコード復調など信号処理回路も内蔵しています。

誤り訂正などを行うのはYAMAHA製の「YM2201」で、RAMは日立製の「HM6116P」です。システムコントロール用のマイコンはSHARP製の「IX1269AFZZ」です。

デジタル回路 サーボ制御 YAMAHA YM3531

信号処理 YAMAHA YM2201 システムコントロール IX1269AFZZ



(DAC・オーディオ回路)
デジタルフィルターは2倍オーバーサンプリングで、YAMAHA製の信号処理チップ「YM2201」に内蔵されたものを使用しています。

D/AコンバータはSHARP製の16bitDAC「IR3K16」です。IR3K16はラダー抵抗型のDACで、「YM2201」から1〜16bitの各ビットごとに出力をもらって駆動しています。DACの隣には15個のデカップリング用のコンデンサ(バスコン)があります。

これを東芝製のマルチプレクサ「TC4053BP」を使ってスイッチングし、左右のチャンネルの音を分離しています。ローパスフィルターは可変コイルを使用したアクティブ型。その後ろにはラインアンプ、ミューティング回路があります。

オペアンプはJRC「072D」「4560D」、ナショナル・セミコンダクター「LM833N」が使われています。コンデンサはニチコン製の電解コンデンサの他に、スチロールコンデンサも使用されています。

オーディオ回路 16bitDAC
SHARP IR3K16

ローパスフィルター オーディオ回路



(ピックアップ・ドライブメカ)
ピックアップ・ドライブメカはチャッキングアーム式です。

ピックアップは自社製の3ビーム「RCTRH0053AF」で、スライド機構はギヤ式です。

ピックアップ・ドライブメカ ピックアップ・ドライブメカ

ピックアップ
RCTRH0053AF
トレイ



(出力端子)
リアパネルの出力端子はアナログの固定出力1系統だけです。

出力端子


SHARP  DX-100のスペック

周波数特性 5Hz〜20kHz ±0.5db
高調波歪率 0.005%
ダイナミックレンジ 93dB
S/N比
チャンネル
セパレーション
90dB
消費電力 18W
サイズ 幅330×高さ80×奥行297mm
重量 4.7kg













SHARP(シャープ) DX-100 B級オーディオ・ファン