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YAMAHA DSP-R795a 1998年 定価75,000円


YAMAHAのDSP-R795aは、1998年に発売された5.1chのAVアンプ(AVレシーバー)です。

バブル崩壊後のピュアオーディオの低調に対し、1996年11月にDVDとDVDプレーヤーが発売されたことで、AVアンプなどのホームシアター製品は売上の拡大が見込まれていました。
この波にうまく乗ったのがYAMAHAです。YAMAHAはバブル崩壊後からホームシアター製品に、軸足を移しており、AVアンプではNo.1のシェアを獲得していました。

当時のYAMAHAのAVアンプのラインアップは、DSP-A1(280,000円)、DSP-A2(178,000円)、DSP-R795a(75,000円)、DSP-A595(53,000円)、DSP-R495(48,000円)となっていました。


DSP-R795aはドルビーデジタルとDTS、そしてYAMAHAオリジナルのシネマDSPに、対応したAVアンプです。

ドルビーデジタルは、もともと映画館用の5.1チャンネル音響システムとして開発されたもので、1992年の「バッドマン・リターンズ」から採用されました。家庭用には1995年からレーザーディスクで採用され、デコーダーを搭載したAVアンプも発売されました。DVDには発売当初から採用されています。

DTSは1997年から採用された5.1チャンネルのシステムで、ドルビーデジタルがデータの圧縮率を高めるために、高音や低音の一部や、マスキングされた音などを省略していました。これに対しDTSは、圧縮率を低くすることでこれらの音を再生し、ドルビーデジタルよりも高音質を得ています。

シネマDSPは1986年に発売されたDSP-1に搭載された、音場の生成システムDSP(Digital Sound Field Processor・デジタルサウンド フィールドプロセッサ)を改良したもので、映画用の音場プログラム「Sci-Fi」など25音場のプログラムを搭載しています。

このシネマDSPとDTS/ドルビーデジタルデコーダーを、ワンチップ化したLSI「シネマDSPエンジン」(YSS-918)を搭載しています。また従来のビデオソフトにも対応するため、ドルビープロロジックも搭載しています。

その他には、フロントエフェクト信号を左右のメインチャンネルに、ミックスする「フロントミックス」機能や、DVDやCDソフトなどからの入力信号により、エフェクト機能をON/OFFする自動判別機能。操作内容をTV画面に表示するオンスクリーン機能、FM/AMチューナーなどを搭載しています。



(音質について)
映画を見る分にはさほど不満を感じませんが、音楽を聴くとなるとBGM程度にしか使えません。透明感が不足していますし、音の情報量や緻密度が不足しています。

AVアンプの場合、各種デコーダーやマイコン、デジタル接続のインターフェイス、ディスプレィなど、内部にノイズの発生源がたくさんありますが、スペースやコストの問題で、十分なノイズ対策ができません(20〜30万のAVアンプでも同じです)。

ブルーレィプレーヤー(レコーダー)が登場後は、HDMIの「ジッター」に音質の悪化の原因をなすりつけていますが、根本的な原因から目をそむけさせても、なんら解決はしません。

またAVアンプは5.1や7.1のマルチチャンネルのため、大きな出力が必要となりますが、内部のスペースの問題で、ピュアオーデオのような、強力で余裕があり、安定的な電源部を搭載することは事実上不可能です。このあたりも音質的には大きなマイナス要素となります。




(フロントパネル)
フラグシップとなるDSP-A1の特徴「くぼみ」を作ったデザインをモチーフにしたものです。

下級機のように機能の省略がないのに加え、チューナーを搭載しているため、操作ボタンがとても多いです。リモコンでも同じ数だけボタンが付いているため、操作を覚えるまでが少し大変です。



(内部について)
大まかに言うと左側に電源とアンプ。右側にドルビーデジタルやDTS、シネマDSPなどの信号処理やチューナーなどの回路があります。

電源トランスはピュアオーディオ用の中級機のアンプと同じぐらいですが、整流用のコンデンサは小型のものしかありません。これは20〜30万のAVアンプでも同じで、価格の問題がどうのこうのというよりも、大きなブロックコンデンサを搭載するスペースが無いためです。

実用最大出力は5チャンネルを合計すると625Wにもなりますが、ピュアオーディオに比べると電源部は信じられないくらいお粗末です。これもDSP-R795aに限らずAVアンプ全般に言えることです。

結果として映画の爆発シーンとかの大音量のシーン。つまりダイナミックレンジが急激に上昇する場合などは、電流の供給が間に合わず保護回路が働いて電源が落ちてしまいます。回路側から見ると過電流が流れたということになります。


電源トランス 出力段

チューナー部 デジタル入力部


(入出力端子)
リアパネルの入・出力端子はDVD-AUDIOなどのマルチチャンネル出力にも対応した5.1ch外部入力端子を装備しています

アナログ系の入力はオーディオが3系統、映像4系統、S端子3系統。デジタル入力は光が3系統、同軸が1系統です。

入出力端子 スピーカー端子


YAMAHA DSP-R795aのスペック

定格出力 フロント 85W+85W
センター 85W
リア   85W+85W
実用最大出力 フロント 125W+125W
センター 125W
リア   125W+125W
全高調波歪率 0.025%
S/N比 96dB(CD、AUX他)
80dB(PHONO MM) 
チャンネル
セパレーション
60dB
消費電力 310W
サイズ 幅435×高さ151×奥行391mm
重量 13.0kg










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