|
||
TOP > 使っているオーディオ > スピーカー > B&W DM601 S2 |
B&W DM601 S2 |
1999年 56,000円(2本) |
B&W DM601 S2は1999年6月に発売された2ウェイの小型スピーカーで、1996年に発売されたDM601の改良モデルとなります。 B&W(Bowers & Wilkins)は1966年の設立で、型番のDMとは「Domestic Monitor」の略で、B&Wの企業としてのポリシーのひとつでもあります。 1996年に登場したDM601は、アラミド繊維のケブラーコーンを搭載し、その優れた音質から世界中でヒットします。それを見たライバル会社も、次々にアラミド繊維を使用したユニットを採用しました。 そういう意味では現在の小型スピーカーに、大きな影響を与えたスピーカーです。 DM601 S2はノーチラスチューブの新型トゥイーターを採用。ケブラーコーンには新たに円錐型のフェイジング・プラグが取り付けられました。 ウーファーはケブラーの織布(ウォーブン・ケブラー)を成型したコーンユニットです。 カタログではウーファーのサイズは16.5cmとなっていますが、これは取り付け用の金属部分まで含めたサイズで、振動板の直径は約12cm、エッジ部分を含めても14.5cmほどです。 トゥイーターは26mmのメタルドーム・トゥイーターとなっていますが、色から見てアルミ系だと思います。 空芯チョークコイルとフィルム・コンデンサーを使用した、リニアフェイズ・ネットワークを使用しており、クロスオーバー周波数は3kHzです。 フロントバッフルは音の回折を低減し、不要輻射を分散するハニカムパターンを成型した樹脂製のバッフルと、MDFのコンポジットバッフル(複合構造)です。 フロントバスレフで、バスレフポートの気流によるノイズを低減させるために、ダクトパイプの端にフレア(広がり)を設けた「フレアードポート」を装備しています。 スピーカー端子はバイワイヤリング接続に対応しています。 仕上げはチェリーとブラックの2種類。 DM601は日本でもヒットしたスピーカーで、このスピーカーでB&Wの名前を始めて知ったという人も多いかと思います。人気のピークは初代のDM601よりも、DM601 S2やDM601 S3の頃だったと思います。 年数がたったこともあり、オークション価格は平均すると2万円ぐらいで購入できます。出品される数は以前に比べると、だいぶ減りましたが、ツィーターが潰されている物が減って、良品の割合が増えています。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(ケブラーについて) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
B&Wのスピーカーというと「ケブラー」ですが、1965年にアメリカのデュポン社が開発したアラミド(ポリアミド)繊維です。同じ重さの鋼鉄と比べて5倍の強度があるなど、強靭でしたが高価な素材でもありました。そのため、当初は防弾チョッキなど用途も限られていました。 でも、このケブラーは、1980年代後半の日本ではとても有名な素材でした。当時はスキーブームの最中。wikiでは「私をスキーに連れてって」(1987年)によってスキーブームが始まったかのように書かれていますが、全くの間違いで1983年にはスキー人口がすでに1000万人を越えており、あれはスキーブームだったために、製作されてヒットした映画です。 1985年に発売されたスキー板「ロシュニョール 4Sケブラー」は、世界中で100万台(ペア)以上も売れたモデルで、定価が9万9000円と高額なスキー板(スラローム用のレーシングモデル)でしたが、日本でも大ヒットとなりました。 ちなみに世界で初めてスキー板にケブラーを採用したのは、日本の小賀坂スキーで1973年に開発、1974年に採用モデルの「K&V」を発売しています。 B&Wがケブラーコーンを開発したのが1974年ですから、くしくも同じ時期に開発が行われていたことになります。 1970~90年代のスキー板は、スピーカーと同じく素材開発がさかんで、ケブラー以外にもカーボン、セラミック、グラファイト、チタン、アルミニウム、マグネシウム、ボロンなどいろいろな素材が使用されました。 ケブラーは軽量で鋼性が高く内部損失により、滑走時の振動を抑えられるという、スキー板にとっても理想的な素材(スキー板の素材や用途などは、意外とスピーカーと共通点が多い)で、4Sケブラーのヒットにより、他のスキーメカーでも採用されていきます。 当然のこととして、ケブラーの使用が増えれば生産も増えて価格も下がり、それによってまた新たな需要を生み出すということになります。1996年から600シリーズにケブラーコーンを搭載するB&Wも、まわりまわって恩恵を受けていたのかもしれません。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(スピーカーのセッティングについて) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
まず、DM601 S2付属のシャンパープレートは音が悪いので、ジャンパーケーブルを作って交換します。 ケーブルは切り売り用のスピーカーケーブルを使えば簡単に作れます。できれば1m1000円ぐらいのケーブル。 これで音の解像度とキレが1ランク向上します。 サイズの割に重さが6.1kgしかないことからも想像できるとおり、少し大きな音で音楽を再生すると、エンクロージャー(キャビネット)は盛大に振動します。つまり箱鳴りを利用したスピーカーです。 そのため、棚やラックの上に設置するのは向きません。しっかりとしたスピーカー台とインシュレーターは必需品です。 スピーカーの置く場所は、フロントバスレフのために、壁面までの距離はそれほど空けなくてもOKです。 オーナーズマニュアル(下図参照)では、後ろの壁面からフロントバッフルまで50cm。横の壁面からはスピーカー本体までは50cm、左右のスピーカーの間隔は1m50cm空けるように推奨されています。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ポンと置いただけでも、そこそこの音が出てくれれますが、箱鳴りするということはキャビネットからも音が出ている訳で、スピーカーの左右と後ろには適度なスペースを持たせた方が良いと思います。 重要なのは左右の間隔で、近すぎると音が混濁してしまいます。これはウーファーがケブラーと、フェイジングプラグによって、不要な音をわざと拡散させているためで、間隔が近いと反対側のスピーカーから拡散された、不要な音の影響を受けてしまうようです。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(音質について) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
DM601 S2は明るめのサウンドで解像度が高く、細い音もよく再生します。透明感もあり音の粒立ちが良く、そこそこスピード感もあります。いわゆる「美音」と呼ばれるような音です。 音場は立体感があり、音の広がりと奥行も良いです。 高音はキレがありますが、低音はさほど出ません。16.5cmウーファーといっても正味は12cmです。でも、やせた音の感じはしません。 明るめのサウンドですが、ジャズやフュージョン、クラシックなども良いです。問題はボーカルの帯域が少し引っ込んで聴こえること。このためボーカルやロックなどでは物足りなさが出ます。 ソースによって粗削り感が出たりしますが、全体としてはバランスが取れた聞きやすい音だと思います。 発売時から「美音」と呼ばれていた訳ですが、実はなかなか「懐が深い」ところもあります。 まずハイスピードのアンプに繋ぐと、きっちりとハイスピードサウンドを奏でられること。一世を風靡したノーチラスチューブと、音離れの良いウォーブン・ケブラーユニットは伊達じゃありません。現代的な打ち込みの音にもちゃんと対応できます。 小さい音量でも、解像度など十分に能力を発揮するため、ニアフィールドでの使用や夜間のリスニングにも適しています。 趣味としてのオーディオでは、機器の組み合わせの仕方が醍醐味のひとつですが、実際の問題としてはアンプとスピーカーは相性が出やすく、悩みの種となります。 DM601 S2はいろいろなメーカーや年代のアンプ、例えばバブル期のアナログアンプも現在のデジタルアンプとも相性が良いです。同様にCDプレーヤーやDACとの相性も良く、ベストとはならないまでも、実用性の高いスピーカーだと思います。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2.6cm メタルドーム・トゥイーター |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
トゥイーター | 2.6cm メタルドーム |
ウーファー | 16.5cm ケブラーコーン |
周波数帯域 | 50Hz~30kHz -6db |
出力音圧レベル | 88dB |
インピーダンス | 8Ω |
クロスオーバー 周波数 |
4kHz |
サイズ | 幅204×高さ356×奥行244mm |
重量 | 6.1kg |
TOP |
CDプレーヤー |
アンプ |
スピーカー |
カセットデッキ |
チューナー |
レコードプレーヤー |
PCオーディオ |
ケーブル |
アクセサリー |
歴史・年表 |
いろいろなCD |