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TEAC AD-7

     1986年 定価119,000円



TEACのAD-7は1986年10月に発売されたCD/カセットプレーヤーです。当時の呼び方はカセットデッキ付きCDプレーヤー。

TEACは現在でもカセットデッキを生産・販売している数少ないメーカーです。AD-7は現行品のカセットデッキ/CDプレーヤー AD-850など、コンビネーション・デッキの元祖となるプレーヤーです。

CDとカセットのコンビネーション・デッキとしては日本初の商品で、たぶん世界初でもあると思います。兄弟機として、ほぼ同じ内容のAD-5(99,800円)がありました。

CDプレーヤーは1982年の発売当初から、レコードプレーヤーには無い曲の時間表示や、プログラム機能などを持ちカセットデッキとの相性が良いといわれていました。CDプレーヤーが第2世代、第3世代へと進歩するのに従い、カセットテープにダビングするためのエディット(編集)機能が充実していきます。またカセットデッキを同時スタートさせるためのシンクロ端子なども装備されます。

当時はCDラジカセが発売されたばかりで、ほとんどのラジカセはカセットテープしか使えません。またカーオーディオ(当時はカーステレオと呼ばれていました)でのCDプレーヤーは、マガジンタイプが登場したばかりで、主力はカセットテープでした。このためCDからカセットテープへのダビング需要が非常に高く、AD-7の登場の背景となったと思います。

また当時のオーディオとしてはアンプにチューナー、レコードプレーヤー、カセットデッキというのが最低装備。つまり4段式のオーディオラックではCDプレーヤーが入る場所が無いということで、スペース面でのニーズも高かったと言えます。


AD-7のCDプレーヤー部分のD/Aコンバータは、バーブラウンの16bitDAC「PCM54HP」を搭載。デジタルフィルターは2倍オーバーサンプリングを使用しています。サーボや信号処理回路は、安定性や信頼性が高いSONY製の半導体(チップ)を使用しています。

カセットデッキはTEACの最も得意とするところで、2ヘッド・3モーターのオートリバースデッキです。ノイズリダクションはドルビーB・Cに加えてdbxも搭載しています。テープセレクタは自動切り替え方式で、ノーマル、ハイ(クロム)、メタルの3ポジションに対応しています。

機能は豊富でCDとカセットテープのシンクロ録音はもちろん、プログラムコピー、テープ残量に合わせて自動的に曲順を入れ替えるタイムエディット、自動頭出し、ブランクスキャン、オートレックミュート、タイマー録音/再生などがあります。

兄弟機のAD-5との違いは、リモコン対応の有無(AD-5は非対応)、タイムエディットとブランクスキャンのみとなります。



(音質について)
音はレンジが狭く解像度も悪いです。高音の伸びも良くありませんし音場も広くありません。ジャンルとしてはロックやJPOP向けです。

値段は119,000円とかなり高く、CDプレーヤーの中級機とカセットデッキの中級機を合わせた価格設定となっていますが、CDもカセットも単体の中級機(59,800円クラス)の音にはかないません。

やはり音質よりもスペース的なメリットや、CDからカセットテープへのダビングが簡単といった機能面を、優先したデッキです。



(フロントパネル)
左側にCD用のトレイ、右側にカセットテープ用のホルダーがあり、真ん中に操作ボタンやスイッチ、録音レベル調整用のボリュームなどがあります。

CD再生時のディスプレィ カセット再生時のディスプレィ






(シャーシや内部について)
シャーシは鋼板製です。1986年というと物量機が続々と登場した年ですが、AD-7は2重底ではありませんし、インシュレーターも付いていません。シャーシの底板、天板ともに普通の鋼板で指で叩くとよく鳴ります。脚はプラスチック製で5個取り付けられています。

CDプレーヤーとカセットデッキを1台に収めるということで、回路はいろいろと共用してコンパクト化しているのかと思ったら、共用しているのはディスプレィの表示用基板だけです。

右側にあるメイン基板は2階建てで、下がカセットデッキの回路や電源回路がある基板、上がCDプレーヤーの基板になっています。システムコントロールやサーボ回路はCDプレーヤー専用、カセットデッキ専用の回路が搭載されています。右端にはdbxの基板があります。

左側にはCD用のメカと電源トランス。メカの上にはディスプレィの表示用の基板があります。


底板 プラスチック製の脚



(電源回路)
電源トランスは4系統の別巻線になっており独立電源のようですが、よくある干渉を防ぐためにデジタルとアナログを分けたり、メカとオーディオを分けるという感じでもありません。

例えばCDプレーヤーでいえば、整流回路からをCDプレーヤー基板への配線は1系統しかなく、CDプレーヤー基板の中から、メカのモーター用の電力を分けています。

電解コンデンサは日本ケミコン製のSMEなどが使われています。電源コードは普通の並行コードです。

電源トランス 電源回路



(CDプレーヤー基板)
メイン基板のひとつで1枚の基板にシステムコントロール、サーボ、オーディオの回路があります。

システムコントロールのマイコンはNEC製の075104CE 042。サーボ・信号処理回路はSONY製でRF信号処理用の「CX20109」、誤り訂正など信号処理を行う「CX23035」と8bitのスタティックRAMの「CXK5816PN-15L」。サーボコントロール用の「CX20108」などがあります。

オーディオ回路のD/Aコンバーターはバーブラウンの16bitDAC「PCM54HP」が1個です。D/A変換後の信号は、NEC製のマルチプレクサ?「040358C」で、左右のチャンネルに分けられています。ローパスフィルターはパッシブ型の9次のフィルターです。

実はこの基板にはデジタルフィルターがありません。そのためにアナログのローパスフィルターが9次と高次のフィルターとなっています。

DACも1世代前の物であり、しかも1個しかないために、L・RチャンネルのD/A変換をまとめて処理するしかありません。

レベル的には初級機です。実際には発売が1996年の秋ですので、初級機でもちゃんとデジタルフィルターは搭載しているので、これは「下の下」というレベルです。

デジタル基板 信号処理 CX23035

バーブラウン 16bitDAC
PCM54HP
オーディオ回路


(CDプレーヤー・メカ)
ピックアップ・ドライブメカはチャッキングアーム式です。ベースは鋼板製のしっかりしたもので、スプリングによりフローティングされています。

ピックアップは3ビームとしか記載がありませんが、三菱製のMLP-7のようです。スライド機構はなんとリニアモーターで、オンポロのオーディオ回路とは釣り合いがとれません。

ピックアップ・ドライブメカ ピックアップ・ドライブメカ



(カセットデッキ基板)
1枚の基板にシステムコントロール、モーター用のサーボ、録音、再生の回路があります。

再生・録音・早送り・巻き戻しなどのボタン操作を、制御するシステムコントロール用のマイコンは、NEC製の「D7519HCW 225」です。

ノイズリダクションシステムは、メイン基板上にDolby-B・C用のチップ日立「HA12088NT」。右端にdbx用の基板があり、dbx本体のチップは松下電器製の「AN6291」です。

カセットデッキ基板 Dolby-B・C 日立 HA12088NT

dbx基板 松下 AN6291



(カセットデッキ・メカ)
回転式ヘッドを装備したオートリバース機構です。ヘッドは録再X1、消去X1で材質は不明です。キャプスタン用モーターはDCサーボモーター。リール用とメカ用はDCモーターです。

メカ ヘッドとキャプスタン・
ビンチローラー



(ディスプレイ表示基板)
ディスプレイ制御用のマイコンは、NEC製の「D7516HCW 304」です。




(入出力端子)
カセット用の入力と出力端子とCD用の出力端子があります。専用リモコンはRC-303。

出力端子 リモコン


TEAC AD-7のスペック

CDプレーヤー 周波数特性 5Hz~20kHz ±0.5dB
高調波歪率 0.004%以下
ダイナミックレンジ 94dB以上
S/N比 95dB以上
チャンネル
セパレーション
90dB以上
カセットデッキ 周波数特性 25Hz~20kHz メタル
25Hz~19kHz クローム
25Hz~18kHz ノーマル
ワウフラッター 0.05%
ダイナミックレンジ 110dB dbx使用時
S/N比 59dB
69dB ドルビーB
78dB ドルビーC
90dB dbx
消費電力 25W
サイズ 幅435×高さ109×奥行292mm
重量 7.3kg





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